『熊のことは、熊に訊け。』

私の友人で、ハイネの子供である魁くんのオーナーさんがこのたび本を出版されました。

『熊のことは、熊に訊け。』
岩井基樹・著 つり人社発行 368ページ/1995円(税込)




<著者/岩井基樹氏について>
地元の人が「羆(ヒグマ)の巣」と呼ぶ北海道・北大雪に拠点を構え日々羆の研究に明け暮れる。
羆の研究の他にも若クマの忌避教育、ベアドッグの育成、釣り人を対象とした羆の講演、行政への働きかけなど「人と羆の共存」を目指す。

<内容>
第1章・『ヒグマは「食いしん坊」』
第2章・『ヒグマは知能が高い』
第3章・『ヒグマに遭わないための戦略』、
第4章・『もし、ヒグマに遭ってしまったら』

****

昨日、読み終わりましたがものすごい迫力と熱意のこもった本です。
アラスカでの長旅を経験して、北海道でも羆との直接的やりとりを通じ、経験から羆という生き物はいったいどういう生き物なのか?が生々しく羆の息使いが感じられる位リアルに伝わってきます。

映画や小説で『狂った眼差しで牙を剥き人と見れば襲いかかり喰い殺す、怪獣のような存在』として描かれているために、まるで本物の羆もそのような生き物であるという誤解を多く与えています。
フィクションはフィクションとして楽しみながらも、実際に羆のいる地『ベアーカントリー=北海道』に足を踏み入れるのならば双方の悲劇を生まないためにも、この本を読んで正しい羆の姿を知る必要性を強く教えられました。

400P近い本書ですが、その文章力の高さと力強さのあいまった魅力で一気に読ませられます。
羆に興味のある方に是非、読んで頂きたい一冊です。


以下、もっと個人的な感想。
想像や他者からの知識で語るのではなく、あくまで自分の経験からの言葉。
羆という生き物にここまで肉迫して調べ上げて書かれた本を私は知りません。
そうして岩井さんは一方的な自然保護論ではなく、厳しくも優しく温かい目を持って羆や北海道の自然を見つめています。
人と動物の間に強く線を引いて分けるのではなく、良い意味での「人間が感じる動物の思考」について描かれているので、専門的な内容ながらも実に判りやすいのです。
ともすればこういう表現は「擬人化だ」と言われかねないのかもしれませんが、深く動物を理解しての表現なので全く自然で違和感がありません。

そうして読んで行くと感じるのは「自然保護」という言葉のちっぽけさ。私は自然を保護することを否定しませんが、その言葉とそういう団体が言ってることに関して一種人間側の驕りをものすごく感じるのです。

更に本書を読み進むと「大自然北海道」というイメージを売り物にしながらその裏で行われている動物へのあまりにも理不尽な排他、駆除行為。
昔の開拓(と、言う名前の侵略)時代にエゾオオカミを殺しまくった…その頃の考え方とさして進歩がないという事実。

こういうことは現地(都心じゃなく、大自然の中)に住んで肌で感じなければ絶対にリアルには見えてこない部分だと思いますし、北海道の観光イメージを低下されかねないので、ネットでは見えてこない「生の言葉」です。

本書を読み終えてから、もう一度前書きを読んだ時に私はどっと押し寄せる感情の渦を抑えることが出来ずに、声を上げて号泣しました。
憤り、やるせない気持ち、怒り…。ここら辺は私がどうしても動物(人外)視点で読んでいるからだと思うので、全ての読者が同じように感じるとは言えませんが。

野生の羆を見たことも無い私がいくら知識で語っても説得力はないはずだし、他者にウンチクを語って教えるなんてもってのほかなので一言。

「まず、この本を読んで欲しい」

自分に言えるのはこれで、語れるのがあくまで本の感想だと思うし、それが一番誤解なく羆を知るのにいい方法だと思う。

動物園でしか羆を見たことがない私が生の羆の生態を知ることが出来、羆という生き物は決して攻撃的でも凶暴でもない…きちんと人間側が自然や動物への畏怖畏敬を持って付き合いをすれば共存出来る存在なのでは?と感じたのです。

羆は駆逐されつくしていい存在じゃないし、エゾシカはハンティングの的ではなく、キタキツネはやっかいな害獣ではない。
一方的な考えは全て人間側が作り出したもの。(こう書いているけど私はハンティングを一方では肯定しています)

秋田ではツキノワグマが頻繁に現れて、うろうろしてるだけで射殺されるのが現状です。そこには北海道の羆のように人と動物との間違った距離感が悲劇に繋がってると感じるのです。
これだけ熊が現れるのに熊についての講習会や勉強会、そういうものが皆無であるという現状。
なんとかしなきゃ…!なんとか出来ないものなのか。
一方的な自然保護でも人間は滅びよ、でもなく、真の意味での「理解と共存」

多分、少なからず自分の人生に影響を与えてくれた一冊となるはずです。
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プロフィール

HERO

Author:HERO
狼犬のブリーダー15年やってきましたが看板下ろして、これからは愛犬とののんびり生活に入ります。
2001年にHigh%の狼犬ロックを迎えてからこの犬にはまり、躾やトレーニング、繁殖、保護など様々に関わって来ました。
今現在は四頭の狼犬と一頭のチワワで豪雪地帯の秋田県でのんびり楽しみながら生活中。
出来る範囲で犬の愛護保護にも関わってます。命の教室に狼犬と共にボランティア参加。
今は狼犬の飼育体験を元にした同人誌を発行。アリスブックスとコミックZINにて通販中。
首都圏を中心にコミケや生き物系イベントにも参加しています。
動物取扱業/秋田県 販売 動15-25

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